1.事案のあらまし
申請人イトウとスズキは、食品加工業であるショクヒン株式会社に6年間、パートタイムの加工作業員として勤務していたが、業績の悪化を理由に整理解雇された。
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イトウ、スズキ共に復職を希望しているものではないが、突然の解雇により長年働いていた会社を退職せざるを得なくなったことに対する経済的・精神的損害の補償として、退職金規程に定める退職金に加え、イトウはさらに規程上の退職金100パーセント相当額(88万円)の上乗せを、スズキは3カ月分の賃金相当額(56万円)の上乗せを求め、あっせん申請を行った。
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あっせんの結果、ショクヒンが退職金規程に定めた退職金に加え、イトウには57万円を、スズキには56万円を支払うことで紛争当事者双方の合意が成立した。
2.紛争当事者の主張内容
◆申請人(労働者イトウ・スズキ)
・退職金が支払われるほか、慰労の意味も込めて賃金1カ月分相当額を支払う旨会社から提案されているが、突然の解雇で経済的にも大変苦しく納得できない。
・とくにイトウの場合、労災の認定は無いが在籍中に発症したヘルニアの療養中に解雇通知をするのは全く情が感じられない。
・会社は実用性のない機械導入に多額の出費をしており、それらのしわ寄せを労働者に押しつけるのには容認できない。
・当初、地域の労働組合を通じて交渉を行い、職場復帰を求めていたが、ショクヒンはこれを認めようとしない。
・和解金も1カ月分の賃金相当額以上は出せない旨主張し、譲ろうとしない。
・規程の退職金に加え、イトウは規程上の退職金100%相当額(88万円)を、スズキは3カ月分賃金相当額(56万円)を、それぞれ慰労金として支払ってほしい。
◆被申請人(ショクヒン株式会社)
・仕事量の減少による業績悪化のため人員削減はどうしても必要であった。
・イトウらを含む3人の加工作業員をやむを得ずに解雇した。
・解雇対象者については、作業能率の評価・会社貢献度の低い者から順に選定を行った。
・退職金の上積みについては、労働者側と何度か協議を行ったが結論が出ていない。
・本件には、労働組合も介入した経緯があり、会社としても早期の解決を図りたいと考えている。
3.争点
本件は、あっせんの申請が行われる前に労働者が労働組合に加入、労働組合を通じて交渉した経緯がある。
双方とも、解雇を前提とした上での「和解金支払い」による解決という点では一致しているものの、イトウらの要求に対し、ショクヒンは賃金1カ月分相当額しか支払えないと主張しており、和解金の具体的な額が争点となった。
4.あっせんの内容
あっせん期日において、紛争当事者双方と個別に面談の上、その主張を確認したところ、双方とも和解金の金額について一定の限度で譲歩する意向を示していたことから、具体的な支払額についての歩み寄りを促した。
なお、イトウおよびスズキBについては、解雇に至るまでの経緯、希望している和解金額の算定根拠などについて若干事情が異なるものの、同時期に整理解雇の対象とされた上、事業主側との交渉、あっせんの申請などを共に行っていることもあり、2人同時の主張の確認を行った。
5.解決内容
ショクヒンが、イトウらに対して、規程上の退職金+和解金として賃金3カ月分相当額を上積みした上で支払うことで、双方の合意が成立した。
また、その旨を記載した合意文書を作成した。