Q.当社には以下のような問題のある社員がおり、 できれば彼らを解雇したいと考えています。解雇することは可能でしょうか?
<不適切な対応例> ~こんな解雇はNG!~
問題のある社員数名に対し、とりあえず1ヶ月分の給料を支払うから辞めてくれと言って、一方的に解雇を言い渡した。
↓
当該社員のうちの一人が不当に解雇されたとして、解雇無効の訴え及び給与の支払いを求めて訴訟提起した。
解雇から1年後、社員の主張を認める判決が下され、当該社員に1年分の給与相当額を支払うとともに、当該社員を職場復帰させなければならないこととなった。
この訴訟結果を知った他の解雇された社員も次々と同様の訴えを提起し、最終的に会社は多額の金銭を支払わねばならない結果となった。
このような事態を避けるために、相談することをお勧めします。
<当事務所による解決例> ~円満に回顧できるようにするべきこと~
詳しい事情を伺った上で、各事案に合わせて
等をアドバイスさせていただきます。
なお、以下ではどのような場合に解雇に正当な理由があるとされるのか具体的にご説明します。
解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、解雇権を濫用したものとして無効とされます(労働基準法第18条2項)。
すなわち、解雇が有効とされるためには、解雇権の濫用とされないだけの正当な理由、合理的理由が必要なのです。
そこで、解雇する前には、当該事案が正当な理由があると認められる場合にあたるのかを十分に調査する場合があります。
まず、解雇の理由が正当なものである必要があります。設問のような事例でいえば、以下のように考えられます。
1.社員の入院
数週間の入院で病気自体が治療可能な場合には、解雇は原則認められないと思ってください。
職場への復帰に予測できない程度の長期間を要するような場合には、労務提供が不能であるとして解雇しうると考えられます。
また、多くの就業規則には解雇事由として「病気により●●間休業したとき」と定められている場合が多いと思いますが、その場合には定められた期間より短期間で解雇することは原則認められません。
なお、病気の社員を解雇する際には、労働基準法による時期の制限にも留意してください。
2.勤務態度や勤務状況の不良
ただ勤務態度や勤務状況が悪いだけでは解雇は認められず、解雇がやむを得ないと考えられる正当な理由が必要となります。
そこで、
などの事情が必要となってくるものと考えられます。
3.労働能力の欠如
当該社員につき一定の労働能力を有していることを想定して採用したものの実際の労働能力は著しく欠如していたような場合、その程度によっては解雇しうると考えられます。
もっとも、このような理由で解雇するためには、使用者としては直ちに解雇するのではなく、当該不十分な点を忠告し労働能力向上のための援助をしたうえでなお是正されない場合に初めて解雇を行うという配慮が必要であると考えられます。
4.経歴詐称
重大な経歴詐称があった場合には解雇しうると考えられます。
もっとも、全ての場合に解雇できるわけではありません。具体的には、以下のような点を考慮します。
以上のような点からその経歴詐称行為が重大な信義則違反にあたる場合には解雇も許されるものと考えられます。
5.既婚社員による社内交際
このような私生活上の行為の理由では容易に解雇は認められないと考えられます。
もっとも、この行為により会社の業務、会社の信用に著しい影響を及ぼした場合には解雇が認められることもあります。
また、当該理由自体は解雇理由として正当なものだとしても、解雇方法が慎重さを欠いている場合には解雇権の濫用と判断されることもあります。
そこで、できるだけ解雇以外の方法によって解決しようとしたという経緯が必要であると考えられます。
例えば、勤務態度の悪い社員に対して処分を行う際には最初から懲戒解雇を行うというのではなく、まずは戒告・訓戒などの解雇以外の懲戒処分、それでも改まらない場合には諭旨解雇を試み、それも困難な場合に最終手段として懲戒解雇を考えるというステップが重要です。
当該解雇に正当な理由があったか否かについては各事案における具体的事情によって結論が異なってきます。不当解雇を行った場合には会社が大きな責任を負うおそれがあることからも安易な判断は禁物です。
解雇時点では被解雇者が何も文句を言わず穏便に解雇できると思われる状況があっても、当該被解雇者がその後再就職で困難な状況に直面するなどして、やはり解雇は無効であるなどと争うおそれがあることを常に忘れないようにしてください。
もしも解雇に不安がある場合には、相談していただくことが最善策ということがいえます。
是非ご相談ください。
解雇につき正当な理由はなかったものと判断された場合、その解雇は無効となります。つまり、被解雇者との雇用契約は解雇通告後もそのまま継続しているということになるのです。
よって、後々、被解雇者が会社に対し解雇の無効を主張して訴えた場合、解雇されなければ得られたであろう賃金を支払う義務が生じたり、被解雇者の職場復帰を命じられたりするおそれがあります。1年前に解雇したにもかかわらず、突然1年分の賃金を一度に請求されるなどということにもなりかねません。
また、被解雇者には会社内に友人、知人がいる場合が多いでしょうから、会社内の雰囲気や士気も芳しくないものになるおそれがあります。被解雇者が、会社に一方的に不当に解雇されたなどと声高に主張し、それが現在も働いている従業員の耳に入ることは、他の従業員が会社に対する不信感や嫌悪感を抱くきっかけとなるでしょう。
<法律による解雇の制限>
1.時期の制限
2.差別的な理由に基づく解雇
3.労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、またはこれを結成しようとしたこと、正当な組合活動をしたことを理由とする解雇(労働組合法第7条1号、4号)